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2006.03.30 Thursday

宮古諸島神事 ウハルズウタキ(大主神社) 池間島

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    池間大橋の手前にある島の大門番にご挨拶をすると、天から「どうぞ、お越し下さい」と、何度も声が聞こえてきます。あ〜、ご挨拶の許しをいただけたと感謝しながら、大主神社(別名:ウハルズウタキ)に車を走らせます。

    初めて見たこのウハルズの神さまへの道の狭いのには、驚きました。普段はもっと遠くに車を止めて、みなさん歩いてこられるんでしょうけれど、本当に、時間がないので、鳥居の横まで車を乗り付けさせていただきました。



    車を降りて、皆さんにまず指示したのは、水で、口、手、足を清めてから、素足のまま入っていくということです。ユタも同様の意見だったので、皆さんは急いで準備にとりかかかりました。

    まず、ユタにご挨拶してもらいます。正面で手を叩き祈りをして、私にゆずってくれました。鳥居の前の薄い石段の下で軽くご挨拶してみると、左右に門番がいることがわかりました。両側に、3人づつ、いらっしゃいます。

    まず左の3人へ、お一人づつのご挨拶、次に、右の門番へ、お一人づつご挨拶。そしてやっと、正面の神さまへ、正式なご挨拶ができました。

    私たちが急いでるのを知ってか、「どうぞ、お入り下さい」と何度も言われます。しかし、どんなに言葉で許していただいても、そのことに甘えることはできません。地元の人や、神人(カミンチュウ)へ迷惑や失礼だけは、絶対にできないからです。

    私が先頭になり、次に、神人、そして、供物を持つ3人、そして、参加者の順に一列になって、鳥居をくぐります。コンクリートで整備されたこのウタキの道は、道の真ん中だけが整備されて盛り上がっていますので、とても歩きやすくなっています。

    神道の神社では、普通は、正面を歩いてはいけません。正面は、神さまの通る道だからです。でも、ここは、許可の得た神人・司しかはいりませんので、これでいいのでしょうね。

    鳥居をくぐり、頭を下げながら歩き始めてみても、正面を見ることはできません。自分の足元の少し先だけを見ながら、ゆっくりゆっくり進みます。

    なぜかというと、両側に、ものすごい数の人たちが隙間なく、私を見定めるように並んでいるからです。結界ともいえる所も何箇所かあります。その両側には、こわい門番が、こちらをにらみつけているのがわかります。いつもなら、きちっとご挨拶をするのですが、神様が「どうぞ、お入りなさい」と言ってくれているので、一例だけして、進みます。

    上り坂の長い道を歩いていると、やっと最後の門が見えました。ご挨拶をしてから、ユタに供物は普段はどこに置くのか聞きました。その場所へ、酒、塩、米を供えます。これでやっと正式なご挨拶の口上を話す準備が整いました。

    今まで2日間の伊良部島のなべ底の祈りから始まった龍神の神さまつなぎと、伊良部のウタキの神様つなぎ、そして、伊良部と宮古のウタキの神様つなぎのご報告をしました。

    さらに明日、八重干瀬(やびじ)へ登り、やびじの神さまへご挨拶しながら、龍神様と宮古諸島を守るウタキの神さまの祈り合わせをすることのご報告もさせて頂きました。そして、赤碕ウタキで頂いたここへの証文の巻物を供えさせて頂きました。

    自分の口上を終え、ウハルズの神さまを心の目で見てみると、なんともゆったりとした雰囲気で、とても笑顔でリラックスしている姿に見えました。きっと見える方にとっては、怖い顔の時もあるのでしょうけれど、今回の私たちの神事の行動をとても喜んでくれているのが、わかります。ウハルズの神さまは、こう、おっしゃいました。


    あなたがしようとしていることは、実は、私も前から気になっていて、いつかは、したいと思っていたことなんです。だから、あなたのしてきたことには、とても感謝している」と。

    うれしいお言葉です。ただこの一言のために、今までがんばってきたともいえるくらいに、喜びがこみ上げてきます。すると・・・「明日の八重干瀬(やびじ)の祈りには、私も協力したいので」とおっしゃっると、すーと私の体の中に入ってきて、頭の先から足もとへと抜けていらっしゃしました。

    正面の椅子に座りなおすと、「では、明日の件、よろしくお願いします。そして、ヌーシの神とハリミズの神にもよろしく!」とおっしゃいました。

    フェリーの時間も無いので、ゆっくり世間話はできませんでしたが、大切なことは終えたと感じたので、深々と礼をして退散させて頂きました。帰り道も、背中を向けることは、できません。絶対に、最後の鳥居をくぐり終えるまでは、神の座に足を踏み入れた人間のすることではないからです。

    最後の鳥居をくぐり終え、急いで車に乗り込み、猛スピードで平良港へ2台の車が向かいます。車中、運転をしてくれているユタに、「神さまは何とおっしゃってましたか?」とたずねてみました。

    彼女も、神さまの喜ぶ姿を見ていたようで、神様が踊っていらっしゃったと言います。一瞬、そんなわけないだろうと思いながらも、神さまは、ユタの彼女に、プレゼントとして見せてくれたようです。

    今日一日で最高の笑顔で、私にありがとうございますを言う彼女の目からは、涙が溢れていて、本当に今日の祈りをやりとげられたことに感動しているようでした。

    実は、池間の橋を渡る前のお店で、ある事件があったんです。

    今回の参加者のなかに、現在、ユタ修行中1年半の女性がいました。その女性が私に、「ウハルズの神さまに供物をあげなくていいのですか?」と聞いたことがキッカケでした。私も実はお昼ごはんに、お腹は空いていたのに、また、肉なしおそばを頼んでいました。

    おにぎりも2つ頼んだのですが、どうも、1個の半分くらいしか食べられそうも無いと感じていると、このおにぎりは、神さまに持っていったほうがいいと感じて、用意していました。

    私の気付かないことを、神さまが誰かの口を借りて話すことは、よくあります。だから、その女性には、一応、「私はおにぎりを用意しています」と話をしていました。すると、ユタの女性が、そのことで、修行中のユタを厳しく叱り始めました。

    相変わらず、地元の人たち同士の会話は、大事なことは方言で話しますので、何を言っているか詳細はわかりませんが、気持ちは伝わってきます。ユタがその女性に言いたかったことは、こういうことです。

    「私も供物の準備は、全てしてあるけれど、今日は、どこの場所にいっても、自分のお供え物を出していいとは感じられなかった。今回の神事は、吉岡さんが仕切っているのに、あなたが自分の判断で相手を迷わすことをしていはいけない」と、言っていたのです。

    この世界は、とても厳しいんです。実は、自分の供物を捧げるということは、口上を述べたり、お願いごとができたり、自分の祈りをさせていただくことの宣言の意味もあるからです。

    そして、実はユタが私に、ぼそっと言った言葉に、「今日は本当はやめようかと思うくらい朝、身体が辛かった」と言っていました。その彼女に私が言った言葉は、「この神事は、本当は、私一人でもやり切れます。しかし、この神事に参加するということは、あなた自身の霊格が上がり、担当次元の領域が変わり、あなた自身の幸せを感じる世界も変わる大切な神事ですから、辛くても、必ず、やりとげて下さい。」と話していました。だからこそ、彼女の涙の中にある喜びの深さは、私にも同じように伝わり感動しました。

    車の中で、本当にウハルズの神さまのあの態度と空気には、驚きました。皆さんに、わかりやすく言うと、宮古諸島から琉球諸島の全体を占めるヤクザの親分みたいな感じの神さまです。椅子に座り、ひざを組んで、笑顔で、「よう来た!よう来た!」と喜んでいる姿を想像してみて下さい。

    3年前から知っていた神様の位の高さや序列は、下の人が上を見あげても何も見えません。今回の神事でもなれば、外部の私が、同格のように扱ってもらえることはないことでしょう。

    明日の八重干瀬(やびじ)が本当に楽しみです。最後の祈り、最後のご奉公、誰にも言っていない本当の祈りの意味を実現する準備が整ったからです。

    港へ今日最後の船が出る時間まで、あと10分しか、ありません。普段ならとうてい無理とあきらめるでしょうが、明日の準備もありますし、やはり、伊良部のホテルへ戻れなければ困ります。ここまでやりきったので、珍しく神さまにお願いをしておきました。

    「どうか、全員を船に乗せてください。」

    6:40分発のフェリー乗り場の入口に着いたのが、6:40。目の前で一隻のフェリーが出ていきました。「あー、いっちゃったー!」あきらめかけて、一応、乗り場へ向かってみると、実は、もう一隻、船があったのです。ユタは飛び降りて、「船を泊めてきます!」と走り出てくれました。

    精魂、尽き果てた私も身体は、急には、動けません。みなさんに荷物を持っていただきながら、船に乗り込みました。今日、一日の出来事、今日、お会いしたすばらしい神々さまたち、そして、最後のウハルズの神さま、本当にありがとうございます。私たちは、明日、必ず、最後の八重干瀬(やびじ)神事をやり遂げます。



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